クオリティを大切にする、訪問看護・訪問リハビリ
訪問看護の需要が増え続けていますね。
- 介護施設を探しているが空きがなく、入所待ちの状態が続いている。
- 近くの病院ではベッド数などから長期入院が難しく、リハビリが万全に行えない。
- 年齢を重ねても、住み慣れた環境で過ごすことを大切にしたい。
このように、訪問介護サービスを必要とする人は多く、今後もその需要が高まっていくことは間違いありません。しかし、ここで見落とせないのが、訪問サービスの「質」です。
なぜならば、訪問介護サービスは、基本的にその建物内で完結する病院や施設での介護とは勝手が異なるからです。訪問スタッフは、利用者側と介護職側、2つの現場の内実を知る、重要な立場と言えるでしょう。
ケアの必要な利用者側にとってはもちろんですが、ケアの給付計画を立てる側、すなわちケアマネージャー(介護支援専門員)にも、そのクオリティは決して見過ごせない要素です。
訪問スタッフに必要とされる能力と、厳しい現実
訪問ケアのスタッフには、「専門的な知識・技術の応用力」が求められます。相手の生活エリアへと踏み込む形になり、利用者さんがリラックスしやすい反面、スタッフにとって万全な環境とは言えない場合もあるからです。
その上で、訪問中は家族の方も含め、心理的な距離感の近い状態が続きます。適切な関係を保ちながら仕事を進めるには、高いコミュニケーションスキルや、柔軟な環境適応能力、気持ちの切り替えなども求められるでしょう。
昨今の求人情報では介護にまつわる職がよく目につき、また他の業種と比べて、年齢の上限も高めに設定される傾向にあります。
けれど、少し耳を澄ませば、“最近始めたけど、すごく大変”、“つらい、辞めたい”など、ネガティブな声も同様にあふれています。求人の門戸は広いものの、その後の育成期間や能力の向上に務める機会が、充分に設けられていない場合もあるようです。
訪問サービスを利用したり、業務を提携する側としては、「質」の見極めが必要な段階に入ってきたと言えるでしょう。
居宅ケアマネージャー・Aさんの場合
さて、そんな業界の現状を憂慮している、内部の視点からお話をしましょう。
石川県・金沢市に在住のAさんは、若い頃からこの業界に携わっている40代女性です。経験年数としても、そろそろベテランと言っていい頃かもしれません。
今は居宅のケアマネージャーをしていますが、元々は介護施設の職員として働いていたAさん。施設に所属していた頃は、ケアマネの資格を取得してからも兼務続きで、受け持つ人数が膨大になることに悩んでいました。
施設ケアマネとして経験を積んだのち、より質の高い仕事をしたいと、Aさんは居宅へ転向します。しかし、居宅ケアマネの業務は相当ハードなものでした。
ケアマネとしての受け持ち数は施設の頃より少ないものの、担当するサービスの調整を全て、自分で行うことになるためです。専門分野はもちろん、ソーシャルワーカーのような役割まで、一手に担う場面も珍しくありません。
はじめの数年は、重圧や自身の至らなさを痛感しながらも必死に務め上げ、怒濤のごとく過ぎ去りました。奮励の甲斐あってか、今ではノウハウも固まりつつあり、居宅ケアマネならではの仕事にやりがいを感じています。
苛酷な業界の中でも、胸を張れる仕事を
そんなAさんですが、より良いサービスを提供できるよう、経験を重ねた今も更なる努力を続けています。業務上関係のある制度は、数年ごとに見直しが行われるなど、常に新たな情報への対応も怠れません。
安定した需要に目をつけ、新たにこの分野へ参入してくる組織や人員は、おおむね増加傾向にあります。しかしそんな中で、自分より先に去っていく人達のことも、Aさんは多く見届けてきました。
家族や利用者さんとの板挟みに、心を疲弊させてしまうスタッフ。高い需要に目を付けたものの、介護援助の現場と摩擦が生じ、結果的に立ち行かなくなる組織。国の方針や、制度の見直しについて行けないという悩み……。
それでも、今このときに自宅でのケアを必要としている利用者さんには、きちんとしたサービスを届けたい。Aさんは居宅ケアマネとして、常により多くの選択肢を確保できるよう、事業所のチェックにも力を入れています。
サービス事業所の選定は、提供エリアと概要から
ケアプラン作成の幅も広がるとの考えから、Aさんは事業所探しに余念がありません。現在の利用者さんに適した事業所はもちろん、今後新たに必要となる場合にも備え、利用できそうな事業所は予めリストアップしておくのです。
訪問介護サービスの事業所を探すとき、まずは利用者さんの住まいから利用しやすいエリアで絞り込みます。Aさんは金沢市で働いているため、担当している利用者さんも、金沢市の周辺が中心です。
提供エリアで該当した事業所から、訪問サービスの内容(介護、看護、リハビリ、薬局など)や、スタッフの職種、営業時間といった詳細を確認します。実際の選定においては、ここからが本番と言えるでしょう。
良質な介護サービスは、良質な職場環境から
Aさんが居宅ケアマネをはじめた当初、とあるサービス事業所の話です。概要を調べて問い合わせた時、代表の人がとても朗らかで手際よく応対してくれたため、明るくクリーンな印象を抱いていました。
しかし年月を重ねていくうち、実務のスタッフは顔ぶれが安定せず、短い区切りで入れ替わるように辞めていることに気付いたのです。個人の事情もあるでしょうが、仕事熱心で成長の見込める若人もいたはず……。
これでは安心して利用者さんを任せられないな、と思ったAさん。ケアプランを実行してもらうスタッフの質について、考え直すきっかけになりました。
Aさん自身も、施設と居宅では勝手の違う部分や、理想と現実のギャップに苦しんだ経験があります。ケアマネ視点で最善を尽くした原案でも、相手側の意向や経済的な事情と釣り合わず、練り直したケアプランは数知れず。
それと同じようにスタッフの側でも、訪問サービスならではの戸惑いや悩みを抱くことがあるのでしょう。そんな職員をきちんと支えてくれる事業所を、良き仕事のパートナーとして選びたいと、Aさんは考えています。
訪問介護職員には「薬の知識」が求められることも
Aさんも最初は意外に思ったものですが、訪問サービスを行うスタッフが戸惑う部分のひとつに、「薬の知識を求められる機会が多い」という点があります。
薬を処方されている利用者さんは多くとも、事前に医師や薬剤師からの説明を受けているはずですね。けれど家に帰ってから、あるいはしばらく日数が経つと、その記憶もだんだん曖昧になってきます。
そんなとき利用者さんは、まず身近なスタッフに声をかけて、確認や相談をするのです。体調に良くない変化があると「薬の副作用では?」と、服用に対し不安や拒否感を抱いてしまうケースは、ケアの観点からも問題になります。
訪問スタッフに対して「気軽に尋ねやすい専門職員」という認識があるためか、処方の説明時に立ち会わなかったご家族から、改めて注意点などに関して質問を受けることもあります。
本来であれば、服薬に関する指導は、薬剤師の範疇です。とは言っても、訪問薬剤師を確保できるとは限らないのが現状。医師への問い合わせや事前の確認に、時間を割いているスタッフも珍しくないようです。
実務はもちろん、人としての内面も大切
Aさんは事業所探しの際に、印象に関わる部分まで積極的に読み込むことを意識しています。スタッフ紹介のページからは、職員を大切にする姿勢が見えますし、理念の内容も、その体現を感じられる事業所とは長く付き合いたいと思えるからです。
居宅ケアマネとしては、人間性や、連携の取りやすさも見逃せません。サービス担当者会議も含め、普段から複数の外部事業者間を跨いだ調整を行うためです。相手方との意見交換がスムーズだと、全体の負担がずっと少なくなります。
また、担当数が増えてくると、モニタリングも大変になってきます。たまの訪問ではAさんの目に付きにくい部分があった場合、訪問スタッフが丁寧な報告を上げてくれる人であれば、安心して利用者さんのケアを任せられるでしょう。
お問い合わせ
訪問看護・訪問リハビリのサービスを必要とされる方に、より充実したケアを提供したいとお考えの、介護支援専門員の皆様へ。
『はなの木訪問看護リハビリステーション』まで、どうぞお気軽にお問い合わせください。